キンミズヒキ属(キンミズヒキぞく、学名:Agrimonia、和名漢字表記:金水引属)は、バラ科の属の1つ。

特徴

多年草で根茎は肥厚する。茎は直立し、毛が生え、奇数羽状複葉の葉が互生し、小葉の縁に鋸歯がある。葉柄の基部に托葉があり合着する。茎先に総状花序をつけ、花は両性で小型。花柄は短い。花床筒は倒円錐形、萼片は5個。花弁は5個で黄色。雄蕊は5-30個。心皮は2個。果実は痩果で、硬い花床筒の中に1-2個ある。花床筒の縁に副萼片が変化したものといわれる鉤状の刺があり、果時に、この刺が動物体に付着して運ばれ、種子が散布される。

分布

ユーラシア大陸、北アメリカ大陸と南アメリカ大陸の温帯に10数種分布する。日本には3種ある。

日本に分布する種

和名、学名はYistによる。

  • チョウセンキンミズヒキ Agrimonia coreana Nakai - 花の径10-16mmとやや大きく、細い花穂にまばらにつき、ことに花序の下部には離れてつく。雄蕊は12-30個。花期は7-8月。茎の高さ30-80cm。山地や高原にまれに生える。北海道・本州・四国・九州、朝鮮半島、中国大陸(東北部、山東省)、ウスリーに分布する。絶滅危惧II類(環境省)。
  • ヒメキンミズヒキ Agrimonia nipponica Koidz. - 花の径5-7mmと小さく、花弁も狭い。花は細い花穂にまばらにつく。雄蕊は5-8個。花期は8-10月。茎の高さ30-80cm。小葉の先はあまりとがらない。山地、丘陵地の林下や渓側に生える。北海道(南部・西部)・本州・四国・九州(屋久島)、朝鮮半島南部、中国大陸中南部に分布する。
  • キンミズヒキ Agrimonia pilosa Ledeb. var. japonica (Miq.) Nakai - 花の径7-10mmとやや小さく、太い花穂に密につく。雄蕊は8-14個。花期は8-10月。茎の高さ50-100cm。小葉の先は多くはとがる。低地、山地にふつうに生える。北海道・本州・四国・九州、朝鮮半島、中国大陸、サハリン、ウスリー、インドシナ半島に分布する。

その他の種

学名はAgrimonia The Plant Listから

  • Agrimonia aitchisonii Sch”nb.-Tem.
  • Agrimonia bracteata E.Mey. ex C.A.Mey.
  • Agrimonia eupatoria L.
  • Agrimonia gorovoi Rumjantsev
  • Agrimonia granulosa Juz.
  • Agrimonia gryposepala Wallr.
  • Agrimonia microcarpa Wallr.
  • Agrimonia parviflora Sol.
  • Agrimonia pilosa Ledeb. - キンミズヒキの基本種
  • Agrimonia procera Wallr.
  • Agrimonia pubescens Wallr.
  • Agrimonia repens L.
  • Agrimonia rostellata Wallr.
  • Agrimonia striata Michx.

ギャラリー

脚注

参考文献

  • 林弥栄監修、平野隆久写真『山溪ハンディ図鑑1 野に咲く花』、1989年、山と溪谷社
  • 牧野富太郎原著、大橋広好・邑田仁・岩槻邦男編『新牧野日本植物圖鑑』、2008年、北隆館
  • 大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 3』、2016年、平凡社
  • 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」
  • The Plant List

キンミズヒキ(バラ科)草の花図鑑 「気ままに自然観察」

キンミズヒキ

キンミズヒキ

キンミズヒキ

Web「ASO 野の花」図鑑