井上 邦雄(いのうえ くにお、1948年〈昭和23年〉8月22日 - )は、日本のヤクザ。特定抗争指定暴力団・神戸山口組組長。大分県日田市出身。

来歴

生い立ち

1948年(昭和23年)8月、大分県に生まれる。野球好きな少年だったが高校を喧嘩沙汰で中退し、素行の悪さに業を煮やした母親により、山口組系山健組傘下の中野会に預けられる。しばらくして、同じ山健組系列の健竜会に移った。

健竜会での活動

1975年(昭和50年)、初代健竜会に愛芳会(あいほうかい)を設立し、健竜会理事長補佐に就任した。

1978年(昭和53年)、山口組三代目・田岡一雄が松田組系組員に狙撃されたベラミ事件を受けて、初代山健組は松田組への報復に参戦。
同年9月2日、和歌山市内の松田組系西口組組長・西口善夫の自宅で警備中の組員2人が健竜会組員に銃撃される。井上はこの事件の首謀者として起訴され、懲役17年の判決を受ける。この服役中に初代山健組直参に昇格した。

2000年(平成12年)に出所後、四代目健竜会会長となり三代目山健組若頭補佐と兼務しながら活動し続けた。

山健組跡目継承から六代目山口組直参へ

2003年(平成15年)5月に三代目山健組若頭に就任し、2年後の2005年(平成17年)8月には山健組四代目を継承し、六代目山口組直参に昇格、役職は幹部からのスタートだった。また同年12月4日、六代目山口組若頭補佐に就任する。

六代目山口組離脱・新団体神戸山口組設立へ

2015年(平成27年)8月、二代目宅見組組長・入江禎や池田組組長・池田孝志らと共に六代目山口組を離脱する。井上は、この時離脱した十数に及ぶ山口組二次団体を纏めて新団体・神戸山口組を結成し、組長に就任した。 一連の動きに際して、六代目山口組から即座に絶縁処分を受けた。

2018年(平成30年)5月、山健組の跡目を五代目健竜会会長・中田浩司へ譲った。これにより、神戸山口組(一次団体)と山健組(二次団体)のトップを兼務していた状態が解消された。

事件

2017年6月6日、知人女性と共謀し、2013年11月に知人名義で携帯電話の機種変更契約を申し込んで携帯電話1台を詐取したとして、詐欺容疑で兵庫県警に逮捕された。兵庫県警は7日、井上を神戸地検に送検した。また、神戸山口組の本部などを詐欺容疑で家宅捜索した。
さらに同年6月16日、会津小鉄会組員に集団暴行により軽傷を負わせたとして、任俠団体山口組組員など5人とともに傷害容疑で京都府警に逮捕された。なお、翌月7月7日、傷害事件について井上は処分保留となり釈放された。

組長宅襲撃事件

2022年6月5日午後2時20分ごろ、井上組長自宅の門扉などに17発撃ち込む発砲事件が発生した。周辺には複数の薬きょうも落ちていた。井上組長自宅付近で警戒に当たっていた兵庫県警神戸北警察署員が発砲音に気付いて110番した。通報の3分後、近くの交番に出頭した岐阜県岐阜市に住む無職49歳男性(六代目山口組三代目弘道会系組員)を拳銃1丁を所持した疑い(銃刀法違反の疑い)で現行犯逮捕した。調べに容疑を認めている。

2023年6月29日、神戸北警察署は放火予備の疑いで、愛知県知多市に住む六代目山口組系組員49歳男性(六代目山口組二代目竹中組系幹部)を現行犯逮捕した。逮捕容疑は29日午前11時20分ごろ、井上組長自宅にガソリンのような液体をまいて、火を付けようとした疑い。同署によると、調べに容疑を認めている。

2025年1月29日午後6時40分頃、井上組長自宅敷地内で出火した。出火直後に敷地内から出て来た静岡県浜松市に住む75歳無職男性(六代目山口組國領屋一家元組員)が警察官に拳銃のようなものを向けたとして、公務執行妨害容疑で現行犯逮捕された。井上組長自宅敷地内の2台(乗用車と軽自動車)とフェンスなどが焼損した。2025年1月31日、兵庫県警暴力団対策課と神戸北警察署は銃刀法違反(所持)の疑いで再逮捕した。調べに容疑を認めている。2025年2月21日、神戸地方検察庁は浜松市の75歳無職男性を銃刀法違反(所持)の罪で起訴した。起訴状などによると、2025年1月19日午後6時半ごろ、井上組長宅敷地内で、回転弾倉式の拳銃1丁を所持。神戸地方検察庁は男の認否を明らかにしていない。神戸地方検察庁は、浜松市の無職男性75歳が拳銃のようなものを警察官に向けたとする公務執行妨害容疑について不起訴処分とした。理由は明らかにしていない。2025年3月3日、兵庫県警は、神戸山口組井上邦雄組長宅に放火したなどとして浜松市の75歳無職男性を現住建造物等放火などの疑いで再逮捕した。同署によると、調べに容疑を認めている。2025年3月24日、浜松市の無職男性75歳は、銃弾20発を所持して組長宅に侵入した疑いがある、拳銃は発射が可能な状態だった、確保された際に回転式拳銃と銃弾19発を所持、井上組長宅敷地内から未使用の銃弾1発が見つかった、銃弾を鑑定した結果、一部を発射可能な実弾と確認した、と報じられた。

金融制裁指定

2016年12月30日、アメリカ財務省外国資産管理室(OFAC)は、井上を国外の著しい犯罪組織とその支持者であると認定し、国際緊急経済権限法・大統領令13581号に基づき金融制裁の対象に加えたと発表した。

OFACは、麻薬密輸や資金洗浄などを通して暴力団関係者の世界的な非合法的活動を支援していると指摘し、アメリカ合衆国の司法権が及ぶ範囲の資産凍結、さらにアメリカ人との取引を禁止する制裁対象とした。

脚注

出典

関連項目

  • 山本広 - 1984年、山口組を脱退し一和会を結成した。

先代・次代


神戸山口組直近の定例会に姿を見せた井上邦雄組長 六代目側からダンプ特攻を受けた二代目西脇組 宮下和美組長 崖っぷちを意地で支える男伊達

神戸山口組『組長』井上邦雄の経歴。 YouTube

神戸山口組の井上組長が「由々しき事態」と認識する2億7000万円の賠償命令(写真1) デイリー新潮

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